第5回強皮症研究会議プログラム SSc (Scleroderma Study Conference)

日時:平成14年3月2日(土)8:00〜15:30
場所:ホテル日航金沢 3階 孔雀の間
座長:竹原和彦(金沢大皮膚科)
桑名正隆(慶応義塾大先端医科学)

I. オープニング・リマーク&ACRレポート

8:00〜8:05
竹原和彦(金沢大皮膚科)

II. ワークショップ「肺線維症の評価と治療」(口演7分、討論5分)

8:05〜9:15
(演題番号4、5、6は口演5分、討論4分)
座長:竹原和彦(金沢大皮膚科)
桑名正隆(慶応義塾大先端医科学)

1. SScにおける間質性肺病変の評価法と治療(レビュー、口演15分、討論5分)

桑名正隆(慶応大先端医科学)

間質性肺病変は日本人SScの予後に影響を与える独立した因子である。そこで、SScにおける間質性肺病変の自然経過、活動性の評価法(肺機能検査、HRCT、気管支肺胞洗浄液検査)、治療について現時点での知見を総括する。

2. 汎発性強皮症患者の肺線維症に対するD-ペニシラミンの有効性の検討

神人正寿、尹 浩信、山根謙一、浅野善英、矢澤徳仁、玉置邦彦(東大皮膚科)

肺線維症を有する汎発性強皮症(SSc)患者60例(メタルカプターゼ投与群40例,非投与群20例)を対象として,肺線維症に対するD-ペニシラミンの有効性を、%VC・%DLcoを指標としてretrospectiveに検討した。

3. 肺線維症の評価と治療

川口鎮司、高木香恵、原まさ子、鎌谷直之(東京女子医大膠原病リウマチ痛風センター)

1998年から2000年までの3年間に東京女子医大附属青山病院に入院した強皮症で肺線維症を合併していた症例を対象とした。肺線維症の診断・評価には、胸部CT, ガリウムシンチグラフィー、呼吸機能検査、気管支鏡下肺胞洗浄液検査を行った。活動性を有した症例に対し、無作為に、ステロイドパルス療法、または、シクロフォスファミドパルス療法を行った。短期的および長期的治療効果に関し報告する。

4. 間質性肺炎にシクロフォスファミドパルス療法が有効であった全身性強皮症の1例

田中千洋、和薬孝昌、平野貴士、白崎文朗、長谷川稔、谷内克成、佐藤伸一、竹原和彦(金沢大皮膚科)

50歳女。抗トポイソメラーゼ I抗体とループス抗凝固因子陽性の全身性強皮症。Total skin score 39点。間質性肺炎は、KL-6 547U/ml、気管支肺胞洗浄液で好中球数増加、Gaシンチで集積を認めたため活動性があると考え、シクロフォスファミド(CPA)パルス療法を施行。CPAパルス2回終了後KL-6は低下し、Gaシンチでの集積は消失。経過中に腎クリーゼを認めたのでパルス療法を中止していたが、KL-6が上昇してきたため、腎機能安定後、再度CPAパルスを施行。

5. 胸腔鏡下肺生検を施行し、ステロイドパルス療法が奏効した間質性肺炎を伴った全身性強皮症の一例

小村一浩、佐藤伸一、安井正英1、竹原和彦(金沢大皮膚科、1第3内科)

65歳、女性で抗U1RNP抗体陽性の全身性強皮症患者。労作時呼吸困難が出現し、CT・肺胞洗浄液でステロイドの奏効する間質性肺炎を疑った。胸腔鏡下肺生検を行い、肺胞の気管支上皮化生と細胞浸潤を認め、nonspecific interstitial pneumonia group・と診断した。ステロイドパルス療法が奏効した。全身性強皮症に伴う間質性肺炎でもステロイドが有効な症例があり、病理組織分類が反応性の予想に有用であると考えられた。

6. 非侵襲的陽圧換気法が呼吸不全に有効であった強皮症の一例

三崎義堅,田中良一,川畑仁人,鈴木 毅,山本一彦(東京大学アレルギーリウマチ内科)

慢性呼吸不全に陥った強皮症患者に,長期酸素療法が生命及び機能予後を改善しているのは疑いない。しかし,長期酸素療法は高炭酸ガス血症が進行しやすく,かつ肺病変も緩徐でも着実にあくまで進行性で,限界がある。非侵襲的陽圧換気法(NIPPV)は,閉塞性肺疾患の非侵襲的人工法呼吸法として注目を集めつつある。我々は発症から約30年を経過し,在宅酸素療法開始後2年で,高炭酸ガス血症を伴う・型呼吸不全を呈した強皮症患者に,夜間のみこのNIPPV(BiPAP)を施行し,血液ガス所見のみならず肺高血圧の改善を得たので報告する。

III. 一般演題(午前の部)(口演7分、討論5分)

9:15〜11:45
座長:三森経世(京都大免疫・膠原病科)(9:15〜10:30)
長谷川稔(金沢大皮膚科)

1. 抗RNAポリメラーゼ(RNAP)抗体検出のためのELISA法の開発

桑名正隆、木村杏子、安岡秀剛、河上 裕(慶応大先端医科学)

RNAPIIIサブユニットRPC155、RPC62の各種リコンビナント断片に対するSSc血清の反応性を免疫ブロットにより検討したところ、RPC155のアミノ酸891-1080番は抗RNAP(+)SSc全例により認識された。同部位の精製リコンビナント蛋白を抗原としたELISAでは抗RNAP(+)SSc16例全例が陽性で、抗RNAP(-)SSc89例、SLE61例、健常人61例はすべて陰性であった。

2. ELISAによる抗トポイソメラーゼ I(topo I)抗体力価の全身性強皮症(SSc)における臨床的意義

佐藤伸一、長谷川稔、竹原和彦(金沢大皮膚科)

抗topo I抗体力価とスキン・スコアおよび腎血管抵抗との間には正の相関が、また%VCとの間には負の相関がみられた。抗topo I抗体力価の経時的変化を検討したところ、経過中の抗topo I抗体力価の上昇は皮膚硬化の悪化、新たな内臓病変の出現と相関していた。逆に、皮膚硬化が萎縮期に入り改善すると、抗topo I抗体力価は低下した。以上より、抗topo I抗体力価は同抗体陽性SScにおいて重症度を反映する指標であり、さらに、経過中の力価の変動は疾患の活動性を反映することが示唆された。

3.全身性強皮症におけるコラーゲン特異的分子シャペロンheat-shock protein 47に対する自己抗体

藤本 学(国立国際医療センター研究所),佐藤伸一(金沢大皮膚科)

heat-shock protein 47 (hsp47)はコラーゲン特異的分子シャペロンとして働くストレス蛋白で,線維化疾患ではその発現が劇的に誘導される.我々は全身性強皮症患者における抗hsp47自己抗体をELISAにて検討し,81例中20例(25%)に陽性であった.また,強皮症動物モデルのtight-skinマウスでも26例中21例(81%)に陽性であった.SLE,皮膚筋炎患者やMRL/lprマウスでは全例陰性であった.以上より抗hsp47抗体の強皮症の病態への関与が示唆された.

4. 汎発性強皮症患者における抗U1 RNA抗体の出現頻度と臨床的意義

浅野善英,尹 浩信,山根謙一,久保正英,玉置邦彦(東大皮膚科)

各種膠原病における抗U1RNA抗体の出現頻度をRNA免疫沈降法にて検討した。抗U1 RNP抗体陽性SSc患者36例中22例(61%),MCTD患者23例中14例(61%),抗U1RNP抗体陽性SLE患者26例中8例(31%)に本抗体を認めた。抗U1RNP抗体陽性SSc患者において本抗体陽性群は,有意に高頻度に肺線維症を認めた。以上より,本抗体は抗U1RNP抗体陽性SSc患者において高頻度に認められ,重症度の指標となる可能性が示唆された。

5. 汎発性強皮症における抗甲状腺抗体

矢澤徳仁、神人正寿、浅野善英、山根謙一、藤本 学、尹 浩信、菊池かな子、玉置邦彦(東大皮膚科)

膠原病では様々な他の自己免疫疾患を合併することが多く、橋本病などの甲状腺疾患も時に合併することが知られている。汎発性強皮症においても原発性胆汁性肝硬変などの他の自己免疫疾患を高率に合併する。また自己免疫性甲状腺疾患の合併の報告もみられ、抗甲状腺抗体が高頻度であるとする報告が散見される。今回我々は本邦における汎発性強皮症患者における甲状腺機能、Anti-thyroglobulin antibody, Anti-thyroid peroxidase antibodyの出現頻度とこれらと臨床症状、検査所見との関連につき検討を加えた。

6. CD19はtight skin (TSK) マウスにおいて自己免疫と皮膚硬化を誘導するシグナル伝達を制御する

斉藤恵里子1、佐藤伸一1、藤本 学2、長谷川稔1、竹原和彦1(1金沢大皮膚科、2国際医療センター研究所)

TSKマウスでは皮膚硬化と自己抗体の産生を認め、一方、CD19はB細胞抗原受容体からのシグナルを増強する。我々は自己免疫と皮膚硬化におけるCD19の役割を検討するため、CD19を欠損したTSKマウスを作成した。TSKマウス由来B細胞ではCD19を介するシグナル伝達が異常に亢進していた。このB細胞活性化はCD19の欠損により正常化され、同時に皮膚硬化も著明に減弱した。TSKマウスの自己免疫と皮膚硬化は共にCD19のシグナル伝達によって制御されている可能性が示された。

座長:石川 治(群馬大皮膚科)(10:30〜11:45)
三崎義堅(東大アレルギーリウマチ内科)

7. Tight-skinマウスにおけるBリンパ球のシグナル伝達異常

浅野典子(東大皮膚科),藤本 学(国立国際医療センター研究所)

全身性強皮症の動物モデルであるTight-skinマウスを用いてBリンパ球抗原受容体シグナル伝達を検討した.Tight-skinマウス脾臓由来のB細胞では野生型に比べて,負の制御因子であるCD22のリン酸化が著明に減弱しており,細胞内カルシウム濃度上昇やExtracellular signal-regulated kinase の活性化が亢進していた.Tight-skinマウスのB細胞ではCD22による抑制性経路の破綻が自己免疫に寄与している可能性が考えられた.

8. 全身性硬化症患者に合併した間質性肺炎の気管支肺胞洗浄液におけるT 細胞レセプターの解析

村田秀行、千野裕介,松本功、堤明人、住田孝之(筑波大臨床医学系内科)

全身性硬化症(SSc) による間質性肺炎の発症機構を明らかにするため,SSc患者の気管支肺胞洗浄液(BALF)中リンパ球のT 細胞レセプター(TCR)を解析した.BALF中リンパ球およびPBLよりRNA抽出,cDNA合成後,TCR BV1-24によるfamilyPCR法によりTCR BV遺伝子を増幅した.増殖されたDNAについてはSSCP法でT細胞クローナリティーについて解析した.

9. 当科で経験した悪性腫瘍合併強皮症の臨床的検討

山本 元久,伊藤 嘉行,山本 博幸,高橋 裕樹,今井 浩三(札幌医科大第1内科)

悪性腫瘍を合併した強皮症症例の臨床的特徴を解析した.対象は平成6年以降に当科にて診療を受けた強皮症症例中,悪性腫瘍を合併した5例.内訳は肺癌2例,大腸癌1例,子宮頚癌1例,縦隔腫瘍1例.肺癌の2例は diffuse型で,強皮症発症後18〜30年後に肺線維症を基盤に合併をみた.一方,子宮頚癌,縦隔腫瘍合併例はレイノー・皮膚硬化を契機に癌が認められており,paraneoplastic syndromeとして,強皮症の発症が疑われた.

10. 心筋障害を合併した強皮症の臨床的並びに病理学的解析

内山真主美、遠藤平仁、鈴木園子、吉田 秀、近藤啓文(北里大内科)

重篤な心筋障害を合併した強皮症(SSc)11症例の臨床的特徴と病理学的解析を行った。臨床所見及び3剖検例の心臓病理学組織を解析。発症より心電図異常出現までの期間は3.7年。64%は発症より5.1年で死亡し予後不良。剖検3例は心筋脱落と局所的線維化を広範囲に認めた。経過中、筋炎の所見を認めた症例は73%、重篤な腸管病変の合併は36%であった。SSc心筋障害合併例は、筋炎、腸管病変を合併する予後不良なSScのサブセットである。

11. TTP/HUSを合併した強皮症の臨床的解析

吉田秀、遠藤平仁、鈴木園子、1菅田文彦、1鈴木康夫、近藤啓文(北里大内科、1聖マリアンナ医大リウマチ膠原病アレルギー内科)

TTP/HUSを合併した2症例の強皮症(SSc)の解析を行った(結果)症例1:56歳,女性。全身型SSc発症9年急速な高血圧とTMAを呈し降圧薬とFFP輸注を施行、腎はSRCに類似 症例2:51歳.女性。限局性皮膚硬化型SSc発症1年、ステロイドパルス、FFP輸注、血漿交換を施行。腎はHUSに類似、vWF cleaving protease抑制活性は陽性(結論)SScに合併したTTP/HUSは血清学的異常と微小血管病変の2つの要素が関与して形成されていると考えられた。

12. 小児全身性強皮症における臨床的特徴

岩田直美、宮前多佳子、伊藤秀一、今川智之、森 雅亮、満田年宏、相原雄幸、横田俊平(横浜市立大小児科)近藤 恵、佐々木哲雄、池澤善郎(同皮膚科)、小池隆夫(北海道大第2内科)

我々はこれまで小児全身性強皮症3症例を経験している。症例1は発症後3年6ヶ月で当科入院されたが、内臓病変の急速な進行がみられ5ヶ月後に死亡した。症例2は体幹部を含む皮膚硬化を有し、治療により軽快見られるものの、治療軽減に伴い皮膚硬化の進行がみられ、発症3年後に末梢血幹細胞移植目的に他院へ紹介とした。症例3は肺高血圧症の合併が見られ当科にて現在治療中である。これら3例の皮膚所見経過、治療効果はtotal skin scoreが有用な指標となるが内臓器の評価がなかなか困難である。小児期発症のSScの臨床的特徴につき考察する。

休憩(10分) 11:45〜11:55 

IV. ランチョン・セミナー(エーザイ株式会社共催)

11:55〜13:05
座長:近藤啓文(北里大内科)

1.プロトンポンプ阻害剤、パリエットの製品説明(10分)

2.強皮症におけるT細胞と自己免疫(口演15分、討論5分)

桑名正隆(慶応大先端医科学)

3.強皮症におけるIL-1aと線維芽細胞(口演15分、討論5分)

川口鎮司(東京女子医大膠原病リウマチ痛風センター)

4.強皮症の発症機序-二段階線維化仮説・TGF-bとCTGF(口演15分、討論5分)

竹原和彦(金沢大皮膚科)
休憩(5分) 13:05〜13:10 

V. 一般演題(午後の部)(口演7分、討論5分)

13:10〜15:25
(演題番号21〜24は口演5分、討論4分)
座長:籏持 淳(千葉大皮膚科)(13:10〜14:25)
菊池かな子(東大分院皮膚科)

13. 当科における強皮症に対するステロイド内服療法のまとめ

遠藤雪恵、石川 治(群馬大皮膚科)

全身性強皮症に対するステロイド内服療法の是非については、賛否両論が存在し、いまだ統一的な見解はない。今回、私たちは1991年から2000年の10年間に当教室を初診しステロイド内服療法を行った患者22名について、患者の背景とくに経口ステロイド使用基準案(竹原)との比較、および皮膚硬化、自覚症状、炎症所見、呼吸機能、肺の画像所見の推移について検討を行った。

14. 膠原病疾患、特にシェーグレン症候群(Sjs)合併例を中心としたビデオスコープを用いた舌表面構造の解析

前田 学(県立岐阜病院皮膚科)

最近1年間、当科加療中計515名の皮膚疾患(膠原病138名含む)の舌乳頭をビデオスコープにて観察した結果、糸状乳頭は、高度異常(完全消失型;IV)、中等度異常(III)、軽度異常(II)、異常なし(正常型;I)の4型に分類可能で、各々、28、86、239、162名に見られた。糸状乳頭高、茸状乳頭、亀裂、歯圧痕、舌裏面静脈怒張、扁桃異常と味覚異常の各項目を点数化し、糸状乳頭型との相関を検討した所、茸状乳頭、亀裂、歯圧痕、舌裏面静脈怒張、ガムテスト異常、眼乾燥症状と口腔乾燥症状項目数、扁桃異常と有意な相関が見られた。糸状乳頭IVとIII型を呈した場合、Sjsの感度76.7%、特異度28.7%であった。

15. COL1A2転写活性化因子ColF1のペプチドフラグメントの構造解析およびcDNAクローニング

籏持 淳1、新海 浤1、木村定雄2(千葉大1皮膚科、2付属高次機能制御センター高次神経分野)

ColF1はCOL 1A2の転写開始点より約400bp上流に結合しその転写活性化に関与する。今回、まず培養細胞抽出物より精製したペプチドフラグメントのアミノ酸シークエンスを解析、さらに一部のシークエンスをもとにヒト線維芽細胞cDNAライブラリーを用いてcDNAクローニングを行った。ColF1は42kDa および 40.5kDa の2本のポリペプチドより構成され、42kDaのペプチド断片のアミノ酸配列はすべてc-myc上流遺伝子結合蛋白質Purαに一致していた。40.5kDaのポリペプチドはPurαのファミリー、Pur βに一致していた。Pur βのcDNAの全長を明らかにした。

16. 強皮症患者IL-1α遺伝子のsingle nucleotide polymorphisms (SNPs) の解析

栃本明子*、川口鎮司、市川奈緒美、小竹茂、針谷正祥、原まさ子、鎌谷直之(*国立療養所村山病院内科、東京女子医大膠原病リウマチ痛風センター)

強皮症線維芽細胞のIL-1α発現亢進が、線維化の病態に関与していると報告してきたが、その発現亢進の機序は不明のままである。IL-1αの遺伝子多型がIL-1α発現亢進に関与している可能性を考え、IL-1α遺伝子のSNPsを検討した。-889 (T→C), +4729 (C→T), +4845 (T→G) にSNPsが存在し、強皮症患者ではこれらのハプロタイプCTGの頻度が健常人に比し有意に高値であった。IL-1α遺伝子のSNPsが強皮症の病態に関与していることが示唆された。

17. 汎発性強皮症皮膚線維芽細胞のコラーゲン遺伝子発現異常におけるTGF-bの関与

尹 浩信、山根謙一、久保正英、玉置邦彦(東大皮膚科)

汎発性強皮症皮膚線維芽細胞はI型コラーゲン遺伝子の発現が亢進し、TGF-bの関与が示唆されている。強皮症線維芽細胞は正常線維芽細胞と同程度のTGF-bを産生したが、2〜3倍程度のTGF-b受容体を発現していた。TGF-b中和抗体あるいはTGF-bアンチセンスオリゴを用いてTGF-b情報伝達経路を阻害したところ、強皮症線維芽細胞のI型コラーゲン遺伝子発現亢進および同遺伝子転写活性の亢進が阻害され、この異常におけるTGF-bの関与が示唆された。

18. 汎発性強皮症皮膚線維芽細胞におけるTGF-b受容体遺伝子転写亢進に関与するシグナル伝達機構について

山根謙一、尹 浩信、玉置邦彦(東大皮膚科)

強皮症皮膚線維芽細胞は正常皮膚線維芽細胞と比較して2倍程度のI型、II型TGF-b受容体を発現していた。TGF-b受容体遺伝子のmessage stabilityに有意差はなかった。さらにI型、II型ともにTGF-b受容体遺伝子転写活性は2倍程度亢進していた。種々のシグナル伝達阻害剤を加えて、TGF-b受容体転写活性、遺伝子発現量について検討したところ、強皮症皮膚線維芽細胞におけるTGF-b受容体の発現亢進に、I型はPKC、II型はPI3Kが関与している可能性が示唆された。

座長:村田秀行(筑波大臨床医学系内科)(14:25〜15:25)
川口鎮司(東京女子医大膠原病リウマチ痛風センター)

19. 全身性強皮症患者の手指拘縮に対するストレッチングの効果

麦井直樹 、塩谷真美、 島崎悦子(金沢大作業療法部)、 佐藤伸一、竹原和彦(金沢大皮膚科)

全身性強皮症の手指拘縮に対し,作業療法でストレッチングを施行し,その効果を検討した.対象患者は43例(diffuse型30例,limited型13例)であった.手指の他動関節可動域測定を初回紹介時と1ヵ月後,1年後,2年後に実施した.1ヵ月後再評価できた33例では改善していた.さらに1年後(19例),2年後(11例)でも1例をのぞき改善または機能維持できており,ストレッチングの効果が示された.

20. 汎発性強皮症における血漿plasmin-a2 plasmin inhibitor complex (PIC)値の検討

神人正寿、尹 浩信、山根謙一、浅野善英、矢澤徳仁、玉置邦彦(東大皮膚科)

汎発性強皮症(SSc)患者74例,正常対照群32例を対象として,血漿PIC値を測定した。SSc患者では正常群に対して血漿PIC値は有意に高値であった。またSSc患者の血漿PIC値は肺高血圧症合併群で有意に高値を示し、さらに収縮期右室圧と有意な正の相関を示した。血漿PIC値はSSc患者の肺高血圧症のマーカーとして有用と思われた。

21. 著明な右心不全にステロイドが有効であった全身性硬化症(SSc)の一例

橋本 尚明、北野 将康、緒方 篤、松井 聖、岩崎 剛、濱野 照明、垣下 榮三(兵庫医科大総合内科 臨床免疫部門)、橋本 武則(橋本膠原病センター)

43歳男性、1998年SScと診断。2000年労作時呼吸困難出現、心エコー上右心拡大と心嚢液貯留を認めたが心カテーテルで肺高血圧症は否定。2001年橋本膠原病センター受診、強皮症心疑われ当科入院。心エコー上肺動脈圧正常、著しい右心拡大と圧排される左心拡張不全、心嚢液貯留を呈した。ステロイドパルスにて心エコー上と自覚症状の改善を認めた。著明な右心不全を来した強皮症心は稀で文献的考察を加え報告する。

22. 抗セントロメア抗体陽性例に生じたサルコイドーシス

久米麻里子、五十嵐敦之(NTT東日本関東病院皮膚科)

70歳、女。抗セントロメア抗体陽性にて外来通院中。レイノー症状なし。2001/6より右下腿の萎縮性紅斑が著明になる。8月には右内眼角に常色の小丘疹が出現。組織よりサルコイドーシスと診断。肺門部・縦隔リンパ節腫大あり。リゾチームの軽度上昇、ACEは正常範囲。ブドウ膜炎の既往あり、心サルコイドーシスの合併は認めず。内眼角の小丘疹増数したためPSL15mg内服し、軽快傾向。当院における抗セントロメア抗体陽性例の臨床像について検討を加えて報告する。

23. 水疱型多発性強皮症の1例

荒川明子、小倉睦美、安藤佳洋(済生会中津病院皮膚科)

71才男性。平成11年秋から下腿、体幹にライラックリングを伴う硬化局面が出現し、増加、拡大してきた。平成12年8月の当科初診時、左下肢に運動障害があり、下腿の硬化局面上に小水疱があった。水疱は破れて疼痛を伴うびらん局面となった。組織学的に真皮浅層の浮腫、膠原繊維の膨化と脂肪織に炎症細胞の浸潤を認めた。ステロイド外用、ビタミンD内服、PUVA療法を試みたがステロイド内服以外の治療に抵抗性である。

24. Generalized morpheaから全身性強皮症へ移行したと思われた1 例

相馬良直、川崎 奏、溝口昌子(聖マリアンナ医大皮膚科)

49歳、女性。10年前に左肩と左大腿に皮疹を生じ、某病院で限局性強皮症と診断された。1年前から皮膚硬化が拡大してきた。手指から前腕にかけ左右対称性にびまん性の皮膚硬化あり。四肢、体幹にもほぼびまん性に光沢のある皮膚硬化を認めるが、正常部と硬化部が明瞭に境されている部分が目立つ。Raynaud現象なし。皮膚生検にて真皮の線維化とリンパ球浸潤。抗核抗体40倍。特異抗核抗体は陰性。肺線維症なし。

VI. クロージング・リマーク(5分)

15:25〜15:30
近藤啓文(北里大内科)

I. オープニング・リマーク(5分)

10:00〜10:05
竹原和彦(金沢大皮膚科)

II. ワークショップ「当科のdiffuse型SSc初診例に行った治療方針」(口演7分、討論8分)

10:05〜11:20
座長:三崎義堅(東大アレルギーリウマチ内科)
桑名正隆(慶応義塾大先端医科学)
1.菊池かな子、矢澤徳仁、尹浩信、玉置邦彦(東大分院皮膚科)
2.石川 治(群馬大皮膚科)
3.近藤啓文、渡部洋行、遠藤平仁(北里大内科)
4.藤井秀孝、佐藤伸一、永岡徹也、竹原和彦(金沢大皮膚科)
5.川口鎮司(東京女子医大膠原病リウマチ痛風センター)

III. ACRレポート(10分)

11:20〜11:30
菊池かな子(東大分院皮膚科)
座長:近藤啓文(北里大内科)

IV. 全身性強皮症におけるHealth Assessment Questionnaire (HAQ)の有用性について(20分)

11:30〜11:50
桑名正隆(慶応義塾大先端医科学)
座長:近藤啓文(北里大内科)
昼食 11:50〜12:40

V. 一般演題(口演7分、討論8分)

12:40〜17:15 (演題番号16〜20は口演5分、討論5分)
座長:籏持 淳(千葉大皮膚科)(12:40〜14:10)
菊池かな子(東大分院皮膚科)

1.汎発性強皮症皮膚線維芽細胞における転写因子Sp1及びSp3の発現量,DNA結合性,リン酸化についての検討

尹 浩信,玉置邦彦(東大皮膚科)

汎発性強皮症皮膚線維芽細胞は,I型コラーゲン遺伝子の発現が亢進し,転写レベルの異常であることが知られている。また同遺伝子はSp1及びSp3によって転写制御されていることが知られている。両転写因子の発現量をnorthern blot法及び免疫ブロット法で,DNA結合性をgel shift法にて検討したが,強皮症線維芽細胞と正常線維芽細胞で差はなかった。Sp1のセリンリン酸化を免疫沈降法にて解析したところ,強皮症線維芽細胞ではSp1のセリンリン酸化が亢進していることが明らかとなり,Sp1のセリンリン酸化が強皮症線維芽細胞におけるI型コラーゲン遺伝子の発現亢進に関与している可能性が示唆された。

2.全身性強皮症患者皮膚線維芽細胞のタイプ・コラーゲンα2(COL1A2)プロモーターのin vivoフットプリント法を用いた解析

大西一徳、久保田弥恵、石川 治(群馬大皮膚科)

全身性強皮症患者皮膚線維芽細胞では・型コラーゲン遺伝子の転写活性の増加が生じていることがしられている。今回我々は、dimethyl sulfate(DMS)を用いたin vivo フットプリントを用いて、皮膚由来線維芽細胞のCOL1A2プロモータにおける蛋白(転写因子)-DNA結合状態について、正常人と全身性強皮症患者の間に違いがあるかを、正常人、強皮症患者それぞれ2例について検討した。抽出したDNAに直接DMSを作用させた場合と、細胞にDMSを作用させた後DNAを抽出した場合との比較では、これまで報告されている転写因子の結合部位やその他の部位に差異が認められたが、その差異の多くは正常人と強皮症の間での変化は明らかでなかった。しかしながら、-200bp近傍では正常人と強皮症の間で明らかな差異が認められた。今後さらにこの領域における詳細な検討を行う予定ある。

3.汎発性強皮症皮膚線維芽細胞におけるTGF-β受容体の発現亢進の機序についての検討

山根謙一、尹 浩信、玉置邦彦(東大皮膚科)

汎発性強皮症皮膚線維芽細胞は、正常皮膚線維芽細胞と比較してI型、II型TGF-β受容体の発現が亢進していることを我々は報告した。今回我々は5例の強皮症皮膚線維芽細胞および7例の正常皮膚線維芽細胞を用いてTGF-β受容体の発現亢進の機序について検討した。強皮症皮膚線維芽細胞は正常皮膚線維芽細胞と比較して2倍程度のI型、II型TGF-β受容体を発現していた。次に転写阻害剤であるActinomycin Dを強皮症皮膚線維芽細胞に加えTGF-β受容体遺伝子のmessage stabilityを検討したが、正常皮膚線維芽細胞の半減期と比して有意差はなかった。さらにTGF-β受容体遺伝子転写活性を強皮症皮膚線維芽細胞と正常皮膚線維芽細胞において比較した。以上の結果から強皮症皮膚線維芽細胞におけるTGF-β受容体の発現亢進がtranscriptional levelである可能性が示唆された。

4.強皮症患者IL-1α遺伝子の5'非転写領域のsingle nucleotide polymorphisms (SNPs)の解析

川口鎮司、栃本明子、市川奈緒美、針谷正祥、原まさ子、鎌谷直之(東京女子医大膠原病リウマチ痛風センター)

強皮症由来線維芽細胞(SSc Fb)は、正常線維芽細胞と異なり、構成的にIL-1αを発現していることを報告した。IL-1αが、線維化に重要であることも明かとなっているが、転写が常に亢進している機序は不明のままである。そこで、転写調節部位を含む5'非転写領域のSNPsを検討した。強皮症患者65例、健常人45例を対象とし、末梢単核球よりDNAを抽出した。転写開始部位を+1とし、-1437から+39までの遺伝子多型をdirect sequence法、PCR-SSCP法にて解析した。-1202(T→C)と-889(T→C)にSNPsが存在しており、強皮症患者では、ともにT→Cの変異が有意に高値であった。

5.強皮症(SSc)線維芽細胞における自己抗原PHETの発現レベルの検討

安岡秀剛1,2、桑名正隆1、尹 浩信3、河上 裕1(慶応大先端医科学1、同内科2、東大皮膚科3)

我々は正常組織では精巣にのみ高発現するPHETに対する自己抗体がSSc患者血清中に特異的に検出されることを報告した。今回、線維芽細胞におけるPHETのmRNA発現レベルを定量的PCRを用いて解析したところ、SSc病変皮膚由来株で正常皮膚由来株に比べてPHETの発現レベルが高かった。したがって、SSc病変皮膚の線維芽細胞における隔絶抗原のPHETの高発現が自己抗体産生の誘因となる可能性が考えられた。

6.全身性強皮症皮膚におけるヒスタミンおよびヒスチジンデカルボキシレースmRNA発現についての検討

大塚 勤1、大竹秀樹2、藤原邦雄3、松崎 茂4、市村 薫4、市川 明5、山蔭明生1、山崎雙次1(1獨協医大皮膚科、2同生理学、3長崎大薬学部、4獨協医大生化学、5京都大薬学部)

全身性強皮症(SSc)の皮膚病変におけるヒスタミンの関与について検討した。SScの組織中ヒスタミン濃度および単位面積あたりのヒスタミン含有細胞数は正常人と比較して低下していた。SScにおける単位面積あたりのヒスチジンデカルボキシレースmRNAを発現している細胞数および細胞あたりの発現量は正常人と比較して上昇していた。SScの皮膚病変形成にヒスタミン代謝亢進が関与している可能性が指摘された。

座長:三森経世(京都大免疫・膠原病科)(14:10〜15:40)
川口鎮司(東京女子医大膠原病リウマチ痛風センター)

7.全身性強皮症患者の血清中IL-8、GROαと臨床病態との相関について

古瀬 忍、佐藤伸一、竹原和彦(金沢大皮膚科)

全身性強皮症(SSc)、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚筋炎(DM)患者および健常人の血清中IL-8、GROαを測定した。SSc患者のIL-8、GROαはSLE、DM、健常人に比べ有意に高値で、IL-8とGROαの間には正の相関が認められた。SSc患者において、IL-8は腎症状、%DLcoの低下と相関し、GROαは腎、心、筋症状、%DLcoおよび%VCの低下と相関した。

8.全身性強皮症における、Th1サイトカインであるIL-12の測定

佐藤伸一1、永岡徹也1、西島千博1、小松和人2、平田昭夫2、竹原和彦1(1金沢大皮膚科、2金沢大泌尿器科)

Th1細胞への分化を強く誘導するIL-12の血清中濃度、末梢血単核球(PBMC)による産生能を全身性強皮症(SSc)にて検討した。血清中IL-12値はSSc患者で、健常人と比較して有意に高値であった。同様に、PBMCによる無刺激条件下のIL-12産生量もSSc患者では健常人と比較して有意に増加していた。血清IL-12高値群では、腎の血管抵抗の指標である腎ドップラーエコー法によるpulsatility index(PI)の上昇が、血清IL-12正常群と比較して有意に高頻度に認められた。さらに、血清IL-12値およびPBMCによるIL-12産生量はPI値と有意に相関していた。以上より、SScにおけるIL-12産生増強はTh1細胞の活性化を反映しており、IL-12の過剰産生が腎の血管障害と関連している可能性が示唆された。

9.全身性強皮症(SSc)患者由来末梢血T細胞の細胞内サイトカインおよびケモカインレセプター発現

藤井秀孝、佐藤伸一、永岡徹也、竹原和彦(金沢大皮膚科)

SSc患者末梢血T細胞の細胞内サイトカイン及びケモカインレセプター発現についてフローサイトメトリーを用い個細胞レベルで検討した。diffuse cutaneous SSc、limited cutaneous SSc (lSSc)では健常者に比べCD8+細胞中のIFN-γ産生細胞の頻度が増加し、%DLcoと負の相関を示した。lSSc群でCD8+細胞中のCXCR3+メモリー細胞の頻度が増加していた。CD4+細胞では3群の間で細胞内サイトカイン及びケモカインレセプター発現の差を認めなかった。

10.全身性硬化症女性における胎児性マイクロキメリズムの存続とHLA解析

村田秀行、住田孝之(筑波大臨床医学系内科)

近年全身性硬化症(SSc) の発症に、母体循環中に残存する胎児性細胞マイクロキメリズムによるGVHD様反応の関与が考えられ、またその存続に母児のHLAが関係していることが示唆されている。今回胎児性マイクロキメリズムの存続が認められたSSc男児出産女性について、HLAとの関連をSSOP法により検討した。現在、母親末梢血のHLAを検討中である

11.抗Th/To抗体のRNase P構成蛋白に対する反応の多様性

桑名正隆1、木村杏子1、鏑木淳一2、河上裕1(慶応大先端医科学1、東京電力病院内科2)

抗Th/To抗体のRNase P構成蛋白に対する反応性を調べ、疾患特異性、HLAクラスII遺伝子との関連を検討した。抗Th/To抗体陽性21例(うち強皮症14例)のRNase構成蛋白に対する反応性は多様で、14、18、8例がそれぞれhPop1、RPP38、RPP30と反応した。hPop1を認識した14例のうち13例は強皮症で、12例はDRB1*1502または*0802を有していた。

12.抗ゴルジ抗体陽性の汎発性強皮症の2例

矢澤徳仁、山根謙一、久保正英、藤本 学、尹浩信、菊池かな子、玉置邦彦(東大皮膚科)、佐藤伸一(金沢大皮膚科)、相馬良直(聖マリアンナ医大皮膚科)

全身性強皮症は様々な自己成分に抗体を有することが知られ、抗ミトコンドリア抗体などの抗細胞質抗体の存在も稀ではない。2例の汎発性強皮症患者においてHep-2細胞を基質とする蛍光抗体法により、核周囲の細胞質に半月型に陽性所見が認められ、ゴルジ体に対する抗体の存在が示唆された。免疫電顕、Hela細胞の細胞質を抗原とする免疫ブロット法により検討を加えた。

座長:藤咲 淳(斗南病院リウマチ膠原病科)(15:40〜17:15)
村田秀行(筑波大臨床医学系内科)

13.肺高血圧合併強皮症の臨床的解析

遠藤平仁、近藤啓文(北里大内科)

肺高血圧を合併した強皮症(SSc)自験例22例の臨床的特徴について解析した。SSc発症からPH合併まで平均7.9年。18例は間質性肺炎を合併していた。抗U1-RNP抗体は10例、抗セントロメア抗体は4例で陽性であった。13例はSwan Gantzカテーテルによる肺循環動態の評価を行ない治療薬の反応性を確認した。治療は在宅酸素療法、PG製剤、Ca拮抗剤、抗凝固療法などを組み合わせて行ったが平均生存期間3.9年と予後は不良であった。

14.血清surfactant protein D (SP-D) による汎発性強皮症患者の肺線維症の評価について

浅野善英,尹 浩信,山根謙一,矢澤徳仁,久保正英,藤本 学,玉置邦彦(東大皮膚科)

汎発性強皮症(SSc)患者83例,正常対照群31例を対象として,血清SP-D値を測定した。SSc患者では正常対照群に対して血清SP-D値は有意に高値を示した。SSc患者において,肺線維症合併群は肺線維症非合併群に対して血清SP-D値は有意に高値を示した。また,血清SP-D値上昇群では正常群と比較して%DLco,%VC低下の頻度が有意に高率であった。以上より,血清SP-D値はSSc患者の肺線維症の評価に有用と考えられた。

15.MPO-ANCA陽性4例の検討

三角 緑、青木昭子、大野 滋、辻 隆、上田敦久、萩原恵里、出口治子、石ヶ坪良明(横浜市立大医学部第一内科)、佐々木哲雄、近藤 恵、池澤義郎(同皮膚科)、井上優子(横須賀市立市民病院内科)

今回我々はMPO-ANCA陽性強皮症(dcSSc)4例について検討した.この4例では半月体形成性腎炎2例,心嚢水貯留と腎障害1例,肺病変1例でいずれの症例も病勢とMPO-ANCA抗体価が相関した.MPO-ANCAは急速進行性腎炎や肺出血などの血管炎症候群で認められるが,SScにもMPO-ANCA関連血管炎が合併し多彩な臨床症状を呈する場合があり,抗体価の測定が診断,治療の指標となると考えられた.

16.ステロイド治療により蛋白漏出性胃腸症の改善をみた強皮症の1例

菅谷壽晃,高橋裕樹,今井浩三(札幌医科大第一内科)

44歳,女性.両手指の腫脹・硬化,顔面・両下肢の浮腫により当科受診.強指症を認め,抗Scl-70抗体 (-),抗セントロメア抗体 (+),alb. 2.3 g/dl,T.Chol. 330 mg/dl,尿蛋白陰性.入院後,皮膚生検にて膠原線維の増生を認め,上・下部内視鏡検査にてリンパ管拡張像やアミロイド沈着なし.99mTc-HAS-Dアルブミンシンチにて小腸からの著明な蛋白漏出を認めた.PSL 40 mg/dayからの漸減投与にて小腸からの蛋白漏出は消失し,血清蛋白も正常化した.

17.皮膚硬化の進展とともに自己免疫性血小板減少症をきたした全身性強皮症 (SSc) の一例

小椋 庸隆、保田 晋助、小泉 和輝、藤咲  淳(斗南病院 内科・リウマチ膠原病科)

50歳女性。平成11年9月にSScの診断。平成12年7月頃より皮膚硬化が急速に増悪。9月より血小板減少が出現し、10月下旬には0.4×104/mlまで低下。破砕赤血球像や骨髄巨核球数の減少は認めなかったが、PA-IgGは著増していた。ステロイド大量投与により血小板数は回復、スキンスコアも16点から8点に改善した。SScでの自己免疫性血小板減少症の報告は大変少なく、皮膚硬化の増悪期に発症したことも含め、興味深い症例と思われた。

18.PUVA bath療法により症状の改善を認めた強皮症の一例

濱崎洋一郎、小川文秀、室井栄治、片山一朗(長崎大皮膚科)

69歳、女性。約5年前からレイノー症状出現。平成11年12月より息切れが出現し当院を受診。初診時手指、前腕、顔面の皮膚硬化、舌小帯の短縮を認めた。抗Scl-70抗体陽性、呼吸機能検査で拘束性変化あり。手指、前腕からの皮膚生検では強皮症に一致する所見を示した。入院のうえ週に3回のPUVA bath療法を行ったところ約10回目の照射より皮膚硬化の改善を認めた。皮膚の病理組織学的およびMMPの活性について検討した。

19.下肢動脈閉塞を来し多血症、抗リン脂質抗体の関与が疑われた強皮症の一例

八子 徹、西成田 真(日立製作所多賀総合病院リウマチ科)

47歳、男性。1998年強皮症と診断。2000年9月4日より左膝から末梢のしびれと疼痛が出現、増悪した。Hb 20.0g/dl・Ht 60.6%と多血症を認め、APTT 57.8秒と延長。ループスアンチコアグラント(LAC)陽性。下肢血流ドップラーエコーで左膝窩動脈分岐部付近よりの血行途絶像と血栓様像が確認され、動脈血栓症が考えられた。多血症・LACの存在の関与等を踏まえ文献的考察を加え報告する。

20.抗topoisomerase I 抗体と抗セントロメア抗体を有する全身性強皮症の1例

野平元備、籏持 淳、中村康博、小林孝志、新海 浤(千葉大皮膚科)、桑名正隆(慶応義塾大先端医科学)

65歳女性。昭和46年よりSScで当科通院。平成12年2月、右第2趾の黒色壊死の為、入院。入院時、レイノー症状、上肢・躯幹の皮膚硬化、強指症、手指屈曲拘縮、指尖部瘢痕、色素沈着、色素脱失、毛細血管拡張、舌小帯短縮、両下肺野線維化あり。入院後、右第2趾の壊死はさらに拡大し下肢動脈造影にて閉塞性動脈硬化症と診断された。抗topoisomerase I 抗体と抗セントロメア抗体の併存を認めた。両抗体の共存は極めて稀である。

VI. 特別講演  17:15〜18:30

座長:竹原和彦(金沢大皮膚科)
「Scleroderma: An update on pathogenesis, organ involvement, management and treatment」
Carol M. Black, MD, FRCP Professor of Rheumatology Royal Free and University College Medical School University College London

VII. クロージング・リマーク(5分) 18:30〜18:35

近藤啓文(北里大内科)


懇親会 18:40〜