厚生労働省「強皮症における病因解明と根治的治療法の開発」研究班・ 第6回強皮症研究会議(SSc, Scleroderma Study Conference) 合同会議プログラム


日時:平成15年1月18日(土) 8:30〜
場所:大正製薬(株)本社 東京都豊島区高田3-24-1
座長:竹原和彦(金沢大皮膚科)
桑名正隆(慶応義塾大先端医科学)

I. 強皮症研究会議、厚生労働省強皮症班会議合同運営のいきさつとプロジェクト研究について

(8:30〜8:40)
竹原和彦(金沢大皮膚科)

II. 厚生労働省健康局疾病対策課・課長からの御挨拶

(8:40〜8:50)

III. ACRレポート

(8:50〜9:00)
村田秀行(筑波大膠原病リウマチアレルギー内科)

IV.ワークショップ「消化管病変の評価と治療」

(9:00〜10:25)
(口演7分、討論3分、 演題1-5は口演5分、討論3分)
座長:近藤啓文(北里大内科)
桑名正隆(慶応義塾大先端医科学)

1.多発性大腸潰瘍を生じた全身性強皮症

片田桐子、天野博雄、石川治(群馬大皮膚科)

63歳、女性。1997年11月頃より、レイノー現象、翌年2月頃より、乾性咳嗽が出現、10月当科を受診した。強指症、両下肺野間質性肺炎、抗核抗体640倍陽性、Scl-70抗体陽性、膠原線維の膨化(前腕)を認め、全身性強皮症と診断した。慢性型の間質性肺炎以外に内臓病変を認めなかったため、アスピリン、ベラプロストナトリウムの内服で経過観察を行っていた。2001年5月、腹痛のため当科に緊急入院した。腹部X線像で大腸に大量の宿便がみられ、発熱、白血球増多(23、100/μl)CRP上昇 (31.7mg/dl)を伴っていたため、抗生剤、下剤投与と浣腸を行い、症状は軽快した。排便後の大腸内視鏡検査で多発性潰瘍が見られ、糞便による圧排が原因と推定された。強皮症では消化管運動機能の低下によるイレウス症状を呈することはあるが、多発性大腸潰瘍は稀である。

2.腸管嚢腫状気腫症・気腹症を呈したSSc/PM overlapの一例

村田秀行、千野裕介、高橋令子、林太智、鈴木英二、後藤大輔、松本功、堤明人、住田孝之(筑波大膠原病リウマチアレルギー内科)

60歳女性。主訴:腹部膨満感。現病歴:1996年12月レイノー現象出現。97年1月歩行時息切れ自覚。2000年4月手指腫脹、手指硬化、肺線維症、CPK上昇、抗RNP抗体陽性を認め、SSc/PM overlapと診断。2001年5月腹部膨満感出現し入院。胸腹部X線検査、腹部CT検査にて、腹腔内遊離ガス像、腸管拡張、腸管壁気腫状変化を認め、腸管嚢腫状気腫症・気腹症と診断、以後在宅IVH管理。

3.オクトレオチドが奏効した全身性強皮症に伴う偽性腸閉塞の2例

菅原伸幸、神戸直智、安部正敏、田村敦志、石川 治(群大皮膚科)

症例は61歳と52歳の全身性強皮症の女性。2例とも下剤や消化管運動改善薬内服などの治療に抵抗性の慢性、難治性イレウス症状を繰り返していた。オクトレオチド100μg/日連日皮下注射により症状は改善し、その後、投与間隔を漸次延長することで長期間、比較的良好にコントロールできた。オクトレオチド皮下注射は強皮症に伴う偽性腸閉塞に有効な治療法と思われたため、若干の考察を加え報告する。

4.強皮症の高度な腸管運動障害に対するoctreotideの使用経験

鈴木知佐子、五十嵐伸一、高丸博之、山本元久、苗代康可、山本博幸、高橋裕樹、今井浩三(札幌医大第一内科)

強皮症の消化管症状にoctreotide投与が有効との報告があり、当科でも2症例に対し投与を試みた。症例1:38才、男性。平成7年SSc発症。平成10年治療抵抗性のintestinal pseudo-obstructionに対しoctreotide3週間連日皮下注を施行した。症例2:31才、女性。平成10年SSc発症。平成14年消化管運動低下による腹部膨満が増強しoctreotide3週間連続皮下注を施行した。2症例ともにoctrotideの有効性は認められなかった。

5.食道狭窄に対しバルーン拡張術が奏効した汎発性強皮症の1例

蘆田龍一、山根謙一、鹿田純一郎、矢澤徳仁、尹 浩信、玉置邦彦(東大皮膚科) 三好秀征(同消化器内科)

35歳、女。93年にレイノー症状、皮膚硬化の出現、抗トポイソメラーゼT抗体陽性、皮膚病理組織像より汎発性強皮症と診断された。2001年当科初診。初診時抗トポイソメラーゼI抗体、抗SS-A抗体、抗RNP抗体陽性、肺線維症と逆流性食道炎を合併。2002年5月初旬より強い嚥下困難感を訴えたため上部内視鏡を行った所、噴門部直上に強度の狭窄を認めた。内視鏡下にバルーン拡張術を行なった所、狭窄は著明に改善し嚥下困難感も消失した。

6.在宅中心静脈栄養療法導入を必要とした重篤な腸管病変を合併した強皮症患者の臨床的特徴並びに長期管理と問題点

遠藤平仁、河野静、橋本篤、吉田秀、坂井美保、鈴木園子、内山真主美、田中住明、石川章、近藤啓文(北里大内科)

強皮症の腸管病変は平滑筋の萎縮と線維化により蠕動低下や偽性腸閉塞、吸収不良症候群が起こり患者QOLは著しく低下する〔方法〕腸管病変のため在宅中心栄養療法(HPN)を導入した自験例の臨床的特徴と長期HPN導入後におこった合併症とその管理法について検討した〔結果〕強皮症HPN導入8症例。導入期間平均40±22ヶ月。現在4例生存し治療を継続中である。合併症はカテ感染、静脈血栓などでありポ−ト再留置を必要とした。

7.食道シンチグラフィ(Condensed image)を用いた全身性硬化症(SSc)の食道運動機能についての検討

橋本尚明、柏木 徹*、橋本武則**、久野英樹、北野将康、緒方 篤、松井 聖、岩崎 剛、佐野 統(兵庫医大リウマチ・膠原病科、*核医学、**橋本膠原病センター)

食道シンチグラフィを用いてSSc患者23例、健常人12例の食道運動機能を評価し、食道造影・上部消化管内視鏡(GIF)および皮膚硬化度と比較検討した。食道造影下における食道径と食道シンチグラフィの臥位 /座位通過時間比は相関を認めた。制酸剤投与下ではGIFより食道シンチグラフィの方が胃食道逆流症の病態の把握に有用であった。皮膚硬化度と食道シンチグラフィの食道通過時間に有意な関係は認められなかった。

8.核医学的手法による食道機能異常の定量化

中嶋憲一、河野匡哉、利波紀久(金沢大核医)、佐藤伸一、竹原和彦(同皮膚科)

核医学的手法の利点は食物通過の生理的機能評価ができることであり、定量化しやすい特長がある。強皮症でしばしば認められる食道病変についても、簡便でありながら感度がよく、かつ重症度評価が可能な定量的指標が求められる。そこで、水またはスープを飲んだときの通過状態を、核医学動態画像として収集し、時間放射能曲線と「圧縮画像」を作成、解析した。強皮症では食道に特有の貯留と画像パターンを示し重症度もよく反映した。

V. 一般演題(口演7分、討論3分)

座長:藤咲 淳(斗南病院リウマチ膠原病科)(10:25〜11:35)
三崎義堅(東大アレルギーリウマチ内科)

1.Chest CTおよびBALFによるSSc-IPの分類

安井正英(金沢大呼吸器内科)、佐藤伸一、竹原和彦(同皮膚科)

SSc-IP28例で蜂巣肺+をUIP type、蜂巣肺ーをNSIP typeとすると2例のみ前者。NSIP typeにおいて、BALF-Ly10%≦LH、10%>LLとすると、LHでSP-Dが有意に低値、抗核抗体および%VCが有意に高値。BALF-Neu5%≦NH、5%>をNLとすると、NHでKL-6、SP-Dが有意に高値、%VCは有意に低値。SScではNSIPが主で、BALFによる分類が有用。

2.全身性強皮症における肺線維症と血清KL-6値の経時的検討

簗場広一、佐藤伸一、濱口儒人、長谷川稔、竹原和彦(金沢大皮膚科)

全身性強皮症39例の血清KL-6値をELISAで測定し経時的変化を検討した。抗topo-I抗体陽性4例で肺線維症(PF)の発症、増悪に伴い急激な上昇を示した。活動性の低いPFを伴った4例では、初診時はKL-6高値を示したものの経過中大きな変化は示さなかった。その他31例では正常域内で安定しておりPFの発症、増悪は見られなかった。血清KL-6値はPFの活動性を反映し、急激な上昇はPFの発症、増悪を表すと考えられた。

3.間質性肺病変を伴った全身性強皮症に対するリハビリテーション
-呼吸管理下リハビリテーションが有効であった2例-

麦井直樹 塩谷真美 西悦子 (金沢大作業療法部)、染矢富士子(同保健学科)、佐藤伸一、竹原和彦 (同皮膚科)

強皮症の肺病変に対して、リハビリテーションを積極的に行った報告はほとんどない。今回、肺病変により在宅酸素療法となっていた2症例に対し、作業療法、理学療法を行った。訓練は携帯型パルスオキシメーター装着にてリスク管理下行った。訓練期間は11週間で、50回程度であった。2症例とも歩行耐久性やADLの向上がみられた。肺機能検査には特変なかったが、リハ施行による廃用性筋力低下などの改善が能力向上につながった。

4.全身性強皮症におけるfractalkineの関与

長谷川 稔、佐藤伸一、竹原和彦(金沢大皮膚科)、安井正英(同呼吸器内科)

血管内皮細胞などから産生されるケモカインであるfractalkine/CX3CL1(FKN)は、SScの皮膚や肺で強い発現が認められた。血清と気管支肺胞洗浄液中のsoluble FKN (sFKN)は、SScで高値を示した。血清中のsFKNは発症早期に上昇し、重症度と相関した。FKNのレセプターであるCX3CR1は、SScの単球やT細胞で発現が上昇していた。SScにおけるFKN/CX3CR1の発現上昇が、病変部への細胞浸潤を促し、病態に関与していると考えられた。

5.ブレオマイシン誘発肺臓炎モデルにおいて、細胞接着分子は白血球の浸潤を制御することで線維化に関与する

濱口儒人、佐藤伸一、竹原和彦(金沢大皮膚科)、安井正英(同呼吸器内科)

細胞接着分子であるL-selectin、ICAM-1およびその両者を欠損したマウスを用いてブレオマイシン誘発肺臓炎モデルを作成し、肺の線維化における接着分子の役割を検討した。各接着分子欠損マウスでは肺への炎症細胞浸潤、線維化ともに野生型マウスに比べ有意に抑制されており、これらの細胞接着分子は肺への炎症細胞浸潤を制御することにより線維化に対し重要な役割を果たしていることが示唆された。

6.肺線維芽細胞のTLR(toll like receptor)-2および-4発現に対するThrombinの影響

鈴木修三、高野 真、佐藤由紀夫(福島県立医大第二内科)、海瀬俊治(大原綜合病院内科)、西間木友衛(西間木医院)

【目的】Thrombinの肺線維芽細胞(LFB)に対するTLR 発現の影響をTLR-2と-4について検討した。【方法】ヒト培養肺線維芽細胞をThrombinで刺激後、RT-PCR法でTLR-2およびTLR-4 mRNA発現量を検討した。【成績】ThrombinはLFBのTLR-2と-4mRNA発現を増強した。【結論】ThrombinがLFBのTLR発現を増強しIPの増悪に関与する可能性がある。


座長:佐藤伸一(金沢大皮膚科) (11:35〜12:45)
三森経世(京大膠原病科)

7.抗RNAポリメラーゼIII抗体ELISAの有用性の検討

桑名正隆、田中庸子(慶大学先端医科学)、岡野 裕(横浜市立市民病院内科)、Janardan P. Pandey、Richard M. Silver (Medical University of South Carolina)、Thomas A. Medsger Jr (University of Pittsburgh)

RNAポリメラーゼ(RNAP)III上の主要エピトープを含むリコンビナント蛋白を抗原としたELISAの有用性を多数検体を用いて検討した。抗RNAPIII抗体陽性103例を含む強皮症269例を対象としたところ、感度89%、特異度99%、陽性適中度99%、陰性適中度94%と良好な結果が得られた。偽陰性血清の多くは免疫ブロットでリコンビナント蛋白と反応したため、抗原の修飾による感度の改善が可能と思われた。

8.強皮症患者における抗トポイソメラーゼI抗体抗体価の臨床的意義

遠藤雪恵、橋本姿惠、根岸 泉、石川 治 (群馬大皮膚科)

抗トポイソメラーゼI抗体は重症型の強皮症のマーカーとして知られているが、近年その抗体価と皮膚および内臓病変の重症度に相関が見られることが報告された。今回、私たちは1991年から2001年の11年間に当教室を初診し、1年以上観察し得た抗トポイソメラーゼ抗体陽性患者21名について、ELISA法を用いて測定した抗体価と臨床像を検討した。その結果、皮膚硬化において両者に有意な相関が見られた。

9.全身性強皮症における抗トポイソメラーゼIIα抗体

早川郁子、佐藤伸一、竹原和彦(金沢大皮膚科)

全身性強皮症患者の血清中の抗トポイソメラーゼIIα抗体をELISAにて測定した。強皮症患者において抗トポイソメラーゼIIα抗体価は健常人に比べて有意に上昇していた。抗トポイソメラーゼIIα抗体陽性患者では肺活量や肺拡散能が有意に低下し、血清中のIL-12や赤沈、CRPは有意に上昇していた。抗トポイソメラーゼIIα抗体は肺病変の有無に関連している可能性が考えられた。

10.強皮症における抗リン脂質抗体合併頻度と臨床的・血清学的特徴

山崎雅英(金沢大血液内科)

抗リン脂質抗体症候群(APS)は各種自己免疫疾患などに合併することが知られているが強皮症(SSc)における合併頻度および臨床的特徴に関する報告はほとんど見られない。金沢大学医学部附属病院皮膚科通院中のSSc症例102例(男性12例、女性90例、10-78歳、平均42.8歳)を対象としてSScにおける各種抗リン脂質抗体(APL)の出現頻度とその臨床的特徴を検討するとともに、APLの一つであるループスアンチコアグラント(LA)測定の意義につき報告する。

11.汎発性強皮症患者における血清中IgG型、IgM型、IgA型リウマトイド因子(IgGRF、IgMRF、IgARF)および抗ガラクトース欠損IgG抗体(anti-AG IgG)の意義

三村佳弘、尹 浩信、神人正寿、浅野善英、山根謙一、矢澤徳仁、玉置邦彦(東大皮膚科)

強皮症患者79例、正常人14例に対し、IgG、IgM、IgA型リウマトイド因子及び抗ガラクトース欠損IgG抗体を測定。IgA型及びIgMRFは皮膚硬化の範囲と、IgARF及びanti-AG IgGは肺線維症と、IgM、IgARF及びanti-AG IgGは食道病変と、IgM、IgG及びIgARFは皮膚毛細血管拡張と、IgG及びIgMRFは指尖部虫蝕状瘢痕と、IgMRFは手指屈曲拘縮と相関した。

12.全身性強皮症ではmatrix metalloproteinase-1(MMP-1)に対する自己抗体がコラーゲンの分解を抑制する

佐藤伸一、早川郁子、長谷川 稔、竹原和彦(金沢大皮膚科)

全身性強皮症(SSc)では線維化に対する自己抗体の役割は不明である。今回、我々はSSc患者血清中に、コラーゲン分解に関与するMMP-1に対する自己抗体を見出した。抗MMP-1抗体は皮膚硬化、肺線維症、腎の血管抵抗の程度とそれぞれ相関した。さらに抗MMP-1抗体はMMP-1の酵素活性を阻害した。以上より、抗MMP-1抗体はMMP-1の活性を阻害することによって、線維化の進展に関与する自己抗体である可能性が示された。

昼食 12:45〜13:30

VI. 特別講演

(13:30〜14:40)

座長:竹原和彦(金沢大皮膚科)

「The development、validation and use of tools to measure outcome in the treatment of scleroderma」

Virginia D. Steen、M.D.
Professor of Medicine
Division of Rheumatology
Immunology & Allergy
Department of Medicine
Georgetown University Medical Center

VII. 一般演題(口演7分、討論3分、演題29〜31は口演5分、討論3分)

座長:村田秀行(筑波大臨床医学系内科)(14:40〜15:50)
藤本 学(国立国際医療センター再生医学)

13.全身性硬化症女性における胎児性マイクロキメリズム定量解析とHLA解析

村田秀行、千野裕介、後藤大輔、松本功、堤明人、住田孝之(筑波大内科)

近年全身性硬化症(SSc)の発症に、母体中に残存する胎児性マイクロキメリズム(FM)によるGVHD様反応の関与が考えられ、またその存続に母児のHLAが関係していることが示唆されている。今回SSc男児出産女性末梢血FMを定量PCR法にて解析し、FMの存続が認められたSSc男児出産女性について、HLAとの関連をSSOP法により検討した。

14.強皮症におけるCD19遺伝子多型の検討

黒木喜美子1、土屋尚之1、佐藤伸一2、藤本学3、竹原和彦2、徳永勝士1(1東大人類遺伝学、2金大皮膚科学、 3国立国際医療センター研究所再生医学)

われわれは、強皮症(SSc)患者B細胞におけるCD19発現上昇、tight skin miceにおけるCD19欠損の抑制的効果、CD19多型とヒトSLEとの関連を報告した。今回、ヒトSScとCD19多型との関連を検討したところ、プロモーター領域、3'非翻訳領域の2個所の多型部位において、SSc患者と健常者に有意差が検出された。今後、これらが地域差に由来する可能性を除外するための検討を予定している。

15.Tight-skinマウスB細胞におけるCD22/SHP-1抑制性経路の機能異常について

藤本 学(国立国際医療センター研究所再生医学)、佐藤伸一(金沢大皮膚科)

全身性強皮症動物モデルであるTight-skin(TSK)マウスのBリンパ球シグナル伝達異常を検討した。TSKマウスB細胞では野生型に比べて、抗原受容体およびCD40刺激で誘導されるCD22のリン酸化の減弱を中心に種々の異常が認められた。TSKマウスではCD22の抑制性経路の破綻によるB細胞シグナル伝達異常が自己免疫に寄与している可能性が考えられた。

16.全身性強皮症におけるImmunoglobulin E isotype switchについて

大塚 勤、山崎雙次(獨協医大皮膚科)

全身性強皮症においてisotype switchの際looping outする環状DNAを調べることによりisotype switchingを検討した。directおよび sequential switchにより生じるS fragmentsをPCRにより増幅しsequencingした。その結果、正常人62例中4例に対して全身性強皮症52例中28例にisotype switchingが認められた(P<0.01)。

17.全身性強皮症(SSc)における血清中可溶性CD40リガンド(sCD40L)値

小村一浩、佐藤伸一、長谷川稔、竹原和彦(金沢大)

SScには自己抗体産生、線維化、血管障害という結びつきにくい現象が存在する。一方、sCD40LはB細胞の活性化、細胞接着分子の発現増強、線維化を誘導する。そこでSSc患者血清中のsCD40L値を測定したところ上昇していた。また、dSScでは長期間高値を示すのに対し、lSScでは短期間のみ高値であった。以上からsCD40LはSScの病態形成に重要な役割を果たし、治療の標的となりうる事が示唆された。

18.汎発性強皮症における血清matrix metalloproteinase-3値の検討

神人正寿、尹 浩信、浅野善英、山根謙一、矢澤徳仁、玉置邦彦(東大皮膚科)

汎発性強皮症(SSc)患者83例、正常対照群30例を対象として、血清MMP-3値を測定した。関節痛を有し、CRPおよびリウマチ因子が上昇しているSSc患者で血清MMP-3値は有意に高値を示し、さらに高値例では経過中、慢性関節リウマチが有意に高頻度に出現した。

座長:尹 浩信(東大皮膚科) (15:50〜17:35)
遠藤平仁(北里大内科)

19.強皮症皮膚線維芽細胞におけるSmad7の発現量とその意義

浅野善英、尹 浩信、山根謙一、久保正英、玉置邦彦(東大皮膚科)

強皮症皮膚線維芽細胞では正常皮膚線維芽細胞に比し、Smad7の発現量が蛋白レベル、mRNAレベルで亢進していた。免疫蛍光法、免疫沈降法により、強皮症皮膚線維芽細胞ではSmad7は細胞質に局在し、恒常的にTGF-beta type I receptorと結合していることが示された。また、強皮症皮膚線維芽細胞ではSmad7の一過性強発現によるalpha 2(I)collagen遺伝子promoter活性の有意な抑制を認めなかった。

20.Transforming Growth Factor β情報伝達系に対するTumor Necrosis Factor αの拮抗作用とその機序

山根謙一、尹 浩信、浅野善英、神人正寿、玉置邦彦(東大皮膚科)

TGF-βとTNFαは拮抗的に作用することが知られている。ヒト皮膚線維芽細胞においてTGFβはSmad、p38、JNKの情報伝達系を活性化させ、α2(I)collagen、TIMP-1遺伝子発現を亢進させるが、TNFαはこれらのTGFβの作用を抑制する。皮膚線維芽細胞におけるTNFαの拮抗作用の機序を検討し、さらに汎発性強皮症皮膚線維芽細胞に対するTNFαの作用について検討した。

21.Angiotensin IIの線維化に及ぼす影響

川口鎮司、高木香恵、西間木江美、市田久恵、深澤千賀子、原まさ子、鎌谷直之 (東京女子医大膠原病リウマチ痛風センター)

Angiotensin II(AgII)は、近年、血管作動性因子のみでなく、細胞増殖因子としての働きが注目されている。特に、心、腎における硬化性病変に関与していることが報告されている。そこで、強皮症線維芽細胞の活性化とAgIIとの関与を検討した。強皮症患者皮膚にてangiotensinogen(AGN)の産生がみられ、培養線維芽細胞では、mRNAおよび蛋白レベルでAGNの発現がみられた。AgIIの添加により線維芽細胞で、コラーゲンの産生が増加するが、AT1受容体の阻害によりコラーゲン産生増加は抑制された。AgII過剰発現の皮膚線維化への関与が示唆された。

22.DNAメチル化による細胞特異的ヒトα2(I)collagen遺伝子発現制御

山根謙一1、 2、鈴木裕之1、近藤美幾1、尹 浩信2、玉置邦彦2、加藤光保3、 宮園浩平1 (1東大院医分子病理、2東大皮膚科、3筑波大基礎医学系)

I型collagenは線維芽細胞、骨芽細胞の細胞特異的分子マーカーとして知られている。今回、我々はヒト皮膚線維芽細胞、HaCaT、 HeLa、 HepG2細胞を用いて細胞特異的ヒトα2(I)collagen遺伝子発現の機序についてα2(I)collagen promoter CAT assay、 Real-time PCR、 bisulfite sequenceを用いて検討した。

23.タイプIコラーゲンα2遺伝子プロモーターに作用する因子の検討

大西一徳、石川 治(群馬大皮膚科)

これまで我々は、正常人と全身性強皮症(SSc)患者皮膚由来培養線維芽細胞を用い、タイプIコラーゲンα2遺伝子プロモーター領域をin vivoフットプリント法で解析し、同領域の-170bp近傍で両者に明らかな差異を認めた。これまでの報告では同部に、転写活性の抑制因子が結合することが知られており、正常人とSScの違いについて、検討を加えた。

24.IL-4による皮膚線維芽細胞におけるTIMP-2の発現亢進の機序の検討

尹 浩信、山根謙一、玉置邦彦(東大皮膚科)

TIMP-2はMMPの活性化を阻害し、細胞外マトリックス代謝、沈着を促進する。また汎発性強皮症患者においてはTIMP-2の発現亢進が報告されている。今回我々は、正常ヒト皮膚線維芽細胞を用いて各種サイトカインによるTIMP-2発現を観察した。調べたprofibrogenic cytokineの中でIL-4のみがTIMP-2蛋白、mRNA発現を亢進し、その作用は転写レベルで制御され、p38MAPK阻害剤で抑制された。またIL-4はp38 MAPKのリン酸化を亢進し、キナーゼ活性を亢進した。さらにIL-4による TIMP-2発現亢進はdominant negative p38 MAPKの発現により阻害され、皮膚線維化におけるp38 MAPKの関与が示唆された。

25.汎発性強皮症皮膚線維芽細胞におけるintegrin alpha v beta 5の発現量とその意義

浅野善英、尹 浩信、山根謙一、久保正英、玉置邦彦(東大皮膚科)

強皮症皮膚線維芽細胞と正常皮膚線維芽細胞において、integrin alpha v beta 5の発現量を比較したところ、in vivo、 in vitroいずれでもintegrin alpha v beta 5の発現量が強皮症皮膚線維芽細胞において亢進していた。正常皮膚線維芽細胞にintegrin alpha v beta 5を一過性強発現させたところ、human alpha 2(I) collagen promoter activityの亢進を認めた。以上より、強皮症皮膚線維芽細胞におけるintegrin alpha v beta 5の発現亢進が汎発性強皮症の病態に関与している可能性が示唆された。

26.強皮症(SSc)皮膚におけるintegrin α11 (ITGA11)発現についての検討

小川武彦、小川加奈、小倉剛久、斉藤栄造(東邦大第4内科)

ITGA11は、近年クローニングされたcollagen結合性のα-subunitである。SScのITGA11 mRNA、蛋白発現を検討した。・正常皮膚に比し、SSc真皮でITGA11発現細胞が著明に多く存在した。・in vitroでもSSc皮膚線維芽細胞のITGA11 mRNA・蛋白発現はconstitutiveに増強されていた。これらは、SSc線維芽細胞機能異常に関与している可能性が示唆された。

27. インターフェロンγ/YB-1によるコラーゲン遺伝子の転写調節機構

稲垣 豊(東海大学医学部地域保健)、東 清史(住友化学生物環境科学研究所)

I 型コラーゲンをコードするα2(I)コラーゲン遺伝子(COL1A2)の転写開始部位の上流、-161から-150塩基間には、インターフェロンγ(IFNγ)によるCOL1A2転写の抑制に必須な領域(IFNγ-response element, IgRE)が存在する。最近我々は、皮膚線維芽細胞を用いた系で、Y box結合因子のひとつYB-1がIgREに結合し、IFNγによるCOL1A2の転写抑制を伝達することを見出した(J Biol Chem 2003, in press)。YB-1は非刺激時には細胞質に存在するが、IFNγ刺激により核内へと移行する。YB-1を外来的に発現させると、COL1A2 mRNA量はdose-dependentに減少した。また、-160/-159塩基もしくは -152/-151塩基に変異を導入すると、YB-1のIgREへの結合が阻害されるとともに、IFNγによるCOL1A2転写の抑制効果が消失した。

座長:川口鎮司(東京女子医大膠原病リウマチ痛風センター)(17:35〜18:45)
石川 治(群馬大皮膚科)

28.慢性関節リウマチを合併した汎発性強皮症患者の臨床的特徴

神人正寿、尹 浩信、浅野善英、山根謙一、矢澤徳仁、玉置邦彦(東大)

汎発性強皮症(SSc)患者173例を対象として、慢性関節リウマチ(RA)の合併の有無を調べた。173例中9例がRAを合併し、RA合併群は初診時に血清CRP値上昇とRaynaud症状に先行する関節痛を有意に高率に伴っていた。また、9例中8例においてRAの診断に先立ってCRP値の上昇がみられた。病歴上Raynaud症状に先行して関節痛が出現した患者においては経時的にCRPを測定し、RAの合併に留意する必要があると考えられた。

29. Sclerosing Panniculitisを合併した汎発性強皮症患者の臨床的特徴

神人正寿、尹 浩信、浅野善英、山根謙一、矢澤徳仁、玉置邦彦(東大皮膚科)

汎発性強皮症(SSc)患者128例を対象として、sclerosing panniculitis (SP)の合併の有無を調べた。128例中10例がSPを合併し、SP合併群は非合併群に比べ肺高血圧症の合併が有意に高率に見られた。また、肺高血圧症を有するSSc患者群において、SPを有する患者には肺微小塞栓が有意に高率に存在した。SSc患者においてSPは肺高血圧症の指標となる可能性が示唆された。

30.血栓性血小板減少性紫斑病を合併した男性強皮症の一剖検例

渡辺 智久、 安立あゆみ、室 慶直、富田 靖(名大皮膚科)

52歳男性。一年前より皮膚硬化の自覚症状があり、当科外来にて強皮症の診断。その後腎機能障害が進行し、その原因として血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)が強く疑われたため血漿交換を行った。ステロイドパルス療法も併用されたが、コントロール困難な大量の胸水も存在し、血小板数の増加も見られず、呼吸不全のため死亡した。病理解剖所見はTTPと合致した。

31.原発性胆汁性肝硬変、シェーグレン症候群を合併した強皮症の1例

小村一浩、中條園子、川原繁(国立金沢病院皮膚科)

66歳女性。抗セントロメア抗体陽性の全身性強皮症患者。無症候性原発性胆汁性肝硬変とシェーグレン症候群を合併していた。さらに抗サイログロブリン抗体陽性で甲状腺機能を検索中である。比較的内臓病変を合併しにくい抗セントロメア抗体陽性の全身性強皮症患者でも軽症ながらも多彩な臓器病変を伴う場合もあるため、肝機能・乾燥症状・甲状腺機能も念頭に置いて診療する必要があると考えられた。

32.入院中突然死したびまん性全身性硬化症(dcSSc)の一剖検例

瀬沼昭子、出口治子、中村満行、 大野滋(横浜市大難病医療センター)、白井輝、石ヶ坪良明(同第一内科)

71歳女性。平成14年2月dcSScと診断。8月になり貧血、大量の胸腹水の精査目的で入院中突然死した。剖検所見では全身の皮膚、肺、食道、腎臓に著明な線維化がみられたほか、心臓の洞房結節に高度な線維化が認められ、Adams-Stokes様の不整脈による突然死が最も考えられた。SScの突然死はよく知られているが剖検例は少なく詳細は不明な点が多い。文献的考察を加えて報告する。

33.強皮症様慢性GVHD5例の臨床的解析

佐々木哲雄(国際医療福祉大熱海病院・横市大皮膚科)、内田敬久、山田淳子(横市大皮膚科)、宮本秀明(神奈川がんセンター皮膚科)

男3例、女2例。骨髄移植後18±4.4ヶ月で皮膚硬化が出現(年齢は33±9.6歳)。皮膚所見は全身性強皮症(SSc)様、筋膜炎様、斑状強皮症ないし硬化性萎縮性苔癬様、著明な色素増強脱失、SLE様、など多彩 。抗核抗体は3例で陽性、うち2例は骨髄移植後に陽性化し、うち1例は陰性化。Raynaud現象、肺・食道病変はなく、皮膚硬化も2例で改善傾向。本症は通常のSScと相違点もあるが、SSc近縁疾患との類似点も多く、強皮症のモデルとして有用と思われる。

VIII. クロージング・リマーク(5分)

(18:45〜18:50)

近藤啓文(北里大内科)

懇親会 18:50〜